論文abst全訳メモ

アポトーシスの直前、小胞体のCa2+量枯渇に依存してCRTが細胞膜表面にさらされる (Cell Death & Differentiation 2007年11月23日号掲載論文)

結論から言うと、アポトーシスの直前、小胞体のCa2+量枯渇に依存してカルレティキュリンという小胞体タンパク質が細胞膜表面にさらされることを示した論文。 本日は「Reduction of endoplasmic reticulum Ca2+ levels favors plasma membrane surface exposu…

KClによる刺激で神経のERが断片化 (Journal of neuroscience research 2011年5月2日号掲載論文)

結論から言うと、脳海馬スライスの神経では、KCl刺激によるCa2+流入よって、ERが断片化することを示した論文。 本日は「Potassium-induced structural changes of the endoplasmic reticulum in pyramidal neurons in murine organotypic hippocampal slices…

ER 局在のp53 がCa2+に依存してアポトーシスを制御する (PNAS 2015年1月26日号掲載論文)

結論から言うと、p53はERとミトコンドリアのコンタクトサイトに局在し、ER へのCa2+取り込みを促進する。Ca2+濃度が高くなったER は、MAM を通してミトコンドリアにCa2+を伝達し、ミトコンドリア内のCa2+が過剰になる。これによりアポトーシスが誘導される。…

DNA 損傷により滑面小胞体が増加, ER-mito 間MCS の形成強化, アポトーシスにつながる (Cell Research 2018年7月20日号掲載論文)

結論から言うと、DNA 損傷によりp53 が活性化すると、REEP1/2 の発現上昇による滑面小胞体の増加、EI24 の発現上昇によるER-ミトコンドリア間MCS の形成促進が誘導される。その結果ER からミトコンドリアへのCa2+移動が促進されアポトーシスが誘導される、と…

翻訳と無関係にmRNAがERに局在化する (Plos Biology 2012年5月29日号掲載論文)

結論から言うと、mRNA がリボソームに依存せずにER 局在化する経路が存在し、このプロセスにはp180 というタンパク質が必要であることを示した論文。 本日は「p180 Promotes the Ribosome-Independent Localization of a Subset of mRNA to the Endoplasmic …

Rtn1がERの分裂を担う (Nature Communications 2019年11月22日号掲載論文)

結論から言うと、レティキュロン (reticulon) というタンパク質によってダイナミックなER膜の収縮と分裂が起きていることを示した論文。 本日は「Dynamic constriction and fission of endoplasmic reticulum membranes by reticulon (レティキュロンによる…

機械刺激に応答した核のしなやかさ (Cell 2020年4月16日号掲載論文)

結論から言うと、表皮幹細胞や皮膚組織などの伸縮刺激を受ける細胞群では、機械刺激に応答して、Piezo1, Caシグナリングに由来するH3K9me3のメチル化レベルの減少が生じる↓これによってクロマチンの流動性が上昇し、核膜の張力が減少するため、核が軟化する↓…

神経変性における、断片化ERとミトコンドリアが形成するコンタクトサイト (CNS Neuroscience & Therapeutics 2016年4月15日号掲載論文)

結論から言うと、レーザー損傷による神経変性モデルの発生機序として、ERの断片化、ミトコンドリアのカルシウム濃度上昇, mPTPの形成, 膜電位の低下, 移動度の低下が提案され、それらがERからミトコンドリアへのMCSを通したカルシウム移動に起因すること、MC…

SASPとERストレスのネガティブフィードバックループ (Molecular Cell 2015年9月3日号掲載論文)

結論から言うと、老化細胞において、macroH2A1がSASPを動員する遺伝子であり、SASPはERストレス, ROS, ATMの活性化を介してmacroH2A1の発現を抑える(つまりネガティブフィードバックループしている)ことを示した論文。 本日は「MacroH2A1 and ATM Play Opp…

カルシウム上昇に応答したER内腔と核膜の変化 (Cell 1997年6月13日号掲載論文)

結論から言うと、平常時にはERの内腔を大きな分子が高速で拡散できるのに対して、細胞内Caイオン濃度が上昇すると急激に拡散の速度が低下し、腔内のタンパク質がfociを形成すること、また、細胞内Caイオン濃度上昇に応答して核膜上(または核膜と非常に近接…

Caイオン濃度上昇に応答した小胞体のネットワーク形成にRNA分解が関与する (Journal of Cell Biology 2014年10月6日号掲載論文)

結論から言うと、細胞内Caイオン濃度の上昇によりER局在RNaseが活性化し、RNA分解を通してERに局在していたリボソームやRNA結合タンパク質を遊離させることで、ERの形態(の大部分)がシート状ERからチューブ状ERに遷移する、というモデルを提唱した論文。 …

ALS患者さん由来の神経においてカルシウムイオンが過剰になる仕組み (Stem Cell Reports 2020年4月23日号掲載論文)

結論から言うと、ALS患者由来のiPS細胞から分化させた神経において、神経興奮に伴ったCaイオン取り込みの過剰な上昇及び、それが持続することを発見し、そのメカニズムとしてAMPA-R, NMDA-R(細胞膜上のCaイオン取り込みチャネル)の発現量が上昇していること…

ストレスを受けたERをER-phagyによって除去することで細胞死を防ぐ (Cell 2017年11月2日号掲載論文)

結論から言うと、マクロファージが細菌を取り込んだ際にERストレスが誘導された後IFN-Ⅰ等の免疫応答が惹起されるが、その過程において、ストレスを受けたERがオートファジーによって取り除かれることで持続的なERストレスおよび細胞死を回避していることを示…

ERからのCa漏洩が、糸球体上皮細胞の細胞死を誘導する (PNAS 2019年6月24日号掲載論文)

結論から言うと、ネフローゼ症候群のモデルマウスの糸球体上皮細胞において、RyRのリン酸化を原因とするERからのCaイオン漏洩が起きていることを発見し、その漏洩をストップさせる薬剤を投与することで、ERストレスに起因するネフローゼ症候群を回復できるこ…

ERのCa取り込みが阻害されると細胞膜修復ができず筋ジストロフィー症になる (Cell Death Discovery 2019年7月18日号掲載論文)

結論から言うと、ANO5の変異に起因する筋ジストロフィー症の発症時には、細胞膜修復が阻害されていること示し、その細胞内ではERでのカルシウム取り込みが低下していることを発見した論文。 本日は「Dysregulated calcium homeostasis prevents plasma membr…

ER-phagyはミトコンドリアの酸化的リン酸化レベル, 及びER上で起こるUFM化によって制御される (Cell 2020年3月19日号掲載論文)

結論から言うと、ER-phagyの制御機構として、ミトコンドリアの酸化的リン酸化を阻害するとバルクオートファジーは影響を受けずER-phagyのみが阻害されること、[リボソームタンパク質RPL26] や [ERタンパク質のグリコシル化を担うRibophorin 1] のUFMylation…

ミトコンドリアの断片化がリソソームの生合成を介して個体レベルの寿命延長に効く (Journal of Cell Biology 2020年4月7日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリアの翻訳阻害によるミトコンドリアの断片化および伸長が、リソソソームの生合成とオートファジーに関連する転写因子HLH-30/TFEBを活性化した結果、線虫の寿命が伸びることを示した論文。 本日は「Mitochondrial translation and…

細胞老化において、ERのexpandによって細胞形態の肥大化・扁平化が起きている? (Oncotarget 2016年10月18日号掲載論文)

結論から言うと、ERストレス誘導薬剤により細胞老化様の表現型も誘導されることを示し、ERストレス関連たんぱく質ATF6αをKDすることで細胞老化時の細胞形態の肥大化・扁平化をキャンセルできることを示した論文。 本日は「ATF6α regulates morphological cha…

Bcl-2の抗アポトーシス作用にはERのCaイオンレベルの制御が効いている (EMBO Journal 2001年6月1日号掲載論文)

結論から言うと、Bcl-2を過剰発現するとERのCaイオン濃度が低下し、ERからのCa放出刺激が起こった際にもミトコンドリア、及び細胞質に過剰なCaイオンが放出されることを防いでいることを示した論文。 本日は「The Ca2+ concentration of the endoplasmic ret…

ERマーカーのcalreticulinが細胞表面にあると、マクロファージの貪食のマーカーになる? (Nature Communications 2018年8月10日号掲載論文)

結論から言うと、マクロファージによる生きた細胞の検出・認識が細胞表面のcalreticulinというたんぱく質を目印に行われることを示した論文。 本日は「Programmed cell removal by calreticulin in tissue homeostasis and cancer (組織恒常性と癌におけるカ…

ER-PM conetact欠損時にsynthetic lethal になる変異の探索 (Molecular Biology of the Cell 2020年4月8日号掲載論文)

結論から言うと、ER-PM接触部位を欠く酵母株の合成致死変異体をスクリーニングしてESCRT-III を同定した論文。 本日は「ESCRT-III and ER-PM contacts maintain lipid homeostasis (ESCRT-IIIとER-PM間MCSが脂質のホメオスタシスを維持する)」という論文で…

細胞膜ダメージ→局所的なミトコンドリアの断片化→局所的なRhoAの活性化とアクチン重合 (Journal of Cell Biology 2020年4月1日号掲載論文)

結論から言うと、細胞膜に穴が開いたときに、局所的にミトコンドリアが断片化する→ミトコンドリアがカルシウムイオンを取り込む→カルシウムを多く取り込んだミトコンドリアがROSを発生→発生したROSが(恐らくRhoAを酸化することで)RhoAを活性化し、アクチン…

PM-ERテザリング分子の同定 (Current Biology 2005年7月12日号掲載論文)

結論から言うと、IP3RによるCa放出の後に、storeのCaを流入させる現象に必要なたんぱく質をsiで網羅的に探した(2304種類)結果、STIM1, 2が同定された、という論文。 本日は「STIM Is a Ca2+ Sensor Essential for Ca2+-Store-Depletion-Triggered Ca2+ Inf…

ER膜上ドメインの存在とMCSにおける意義 (PNAS 2020年3月16日号掲載論文)

結論から言うと、細胞が低張で膨潤した際に、ER及び他のオルガネラが巨大小胞の形に転移することを示し、その系を利用して、[ERとmito, lipid droplet, endosome, PMとのコンタクトサイト]はLo ドメインを基点に形成され、[ERとlyso, peroxisomeとのコン…

細胞老化を味方に筋再生を促す (Nature Communications 2020年2月14日号掲載論文)

結論から言うと、エクササイズをしたとき、間葉系前駆細胞が「細胞老化」を起こし、免疫細胞を動員することで老化細胞をクリアランスすることが、筋の再生・肥大を促すことを示した論文。 本日は「Exercise enhances skeletal muscle regeneration by promot…

ERストレスセンサーがER-PM間MCSを調節する (Molecular Cell 2017年3月2日号掲載論文)

結論から言うと、ERストレスセンサーであるPERKがアクチン結合タンパク質フィラミンAと相互作用していることを同定し、ER Ca欠乏・細胞質 Caリッチな状況で、PERK-FLNA相互作用がER-PM間MCS形成を促進することを示した論文。 本日は「The ER Stress Sensor P…

細胞が老化する過程で、ピルビン酸をアセチルCoAに代謝する反応が促進する (Nature 2013年5月19日号掲載論文)

結論から言うと、がん遺伝子誘発性細胞老化(OIS)状態において、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)が活性化し、TCAサイクルが亢進して細胞にストレスがかかっていることを示した論文。 本日は「A key role for mitochondrial gatekeeper pyruvate dehydrogen…

トランスグルタミナーゼがER-mito間MCSの形成を制御する (Cell Reports 2018年12月26日号掲載論文)

結論から言うと、トランスグルタミナーゼ2がIP3R-GRP75-VDAC複合体の制御を通して、ER-mito間MCSの形成を亢進させ、ERからmitoへのCaフラックスを調節していることを示唆した論文。 本日は「Transglutaminase Type 2 Regulates ER-Mitochondria Contact Site…

MICU1はミトコンドリアへの過剰なCaイオン流入を防ぐ門番である (Cell 2012年10月26日号掲載論文)

結論から言うと、MICU1がミトコンドリアへのCaイオン流入孔を形成するMCUの活性を調節することで、過剰なCa流入に起因するROSの産生やアポトーシスの亢進を防いでいることを示した論文。 本日は「MICU1 Is an Essential Gatekeeper for MCU-Mediated Mitocho…

小胞体は、"膜のない"オルガネラとも接触する (Science 2020年2月31日号掲載論文)

結論から言うと、ERがP-bodiesやストレスgranulesなどのドロップレットともコンタクサイトと形成することを明らかにし、その接触点を基点にそれらのドロップレットが分裂することを示した論文。 本日は「Endoplasmic reticulum contact sites regulate the d…