論文abst全訳メモ

インフラマソームがミトコンドリアの機能不全を感知する? (Nature 2010年12月1日号掲載論文)

結論から言うと、マイトファジーの阻害でROSを生成する機能不全ミトコンドリアが蓄積し、それがインフラマソームを活性化することを示した論文。 本日は「A role for mitochondria in NLRP3 inflammasome activation (NLRP3インフラマソーム活性化におけるミ…

神経軸索が損傷した時、ミトコンドリアのCaイオン取り込み因子のmRNA分解をキャンセルすることで、スムーズにCaイオンを伝達する (Current Biology 2020年1月23日号掲載論文)

結論から言うと、神経軸索が損傷した際に、mRNA分解因子CAR-1の活性が落ち、micu-1(ミトコンドリアへのCaイオン取込チャネルの制御因子)のmRNAが分解から免れることで、ミトコンドリア内Ca濃度が上昇することが、軸索の再成長に重要であることを示した論文…

ER-PMコンタクトサイトで起こるイノシトールリン酸系分子のフィードバック調節 (Cell Reports 2013年11月14日号掲載論文)

結論から言うと、ER-PM間MCSを通して、E-Syt1とNir2がPIP2やIP3、及びカルシウムシグナルのレベルを制御していることを示した論文。 本日は「Feedback Regulation of Receptor-Induced Ca2+ Signaling Mediated by E-Syt1 and Nir2 at Endoplasmic Reticulum…

ミトコンドリアへのカルシウムイオンの取り込みは、細胞内カルシウム量の変化に依存して転写レベルで制御されている (Science Signaling 2015年3月3日号掲載論文)

結論から言うと、ERを介した細胞内カルシウムイオン量の変化に応じて、ミトコンドリアのカルシウム取り込みチャネルの発現量がCREBを介して変化し、ミトコンドリアの恒常性が維持されていることを示した論文。 本日は「Ca2+ signals regulate mitochondrial …

ミトコンドリア外膜の脂質組成に依存したVDAC活性の制御 (Journal of Biological Chemistry 2006年9月21日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリア外膜に存在するVDACが、ミトコンドリア外膜の脂質の組成によって、異なる局在、及び開閉の活性を持つことを示した論文。 本日は「Voltage Gating of VDAC Is Regulated by Nonlamellar Lipids of Mitochondrial Membranes (VD…

オートファジーが身体に有益か有害かは、ミトコンドリアの膜透過性によって決まる? (Cell 2019年4月4日号掲載論文)

結論から言うと、オートファジーを介した寿命の延伸には、ミトコンドリアの膜透過性を低く抑えることが必要であることを示した論文。 本日は「Mitochondrial Permeability Uncouples Elevated Autophagy and Lifespan Extension (ミトコンドリアの膜透過性上…

ER-mito間のMCSと、Caイオン動態 (Molecular Cell 2010年7月9日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリアとERまたはPMとの接触点のイメージング、及びそこにおけるCa動態をモニターした論文。 本日は「Imaging Interorganelle Contacts and Local Calcium Dynamics at the ER-Mitochondrial Interface (ER-ミトコンドリア間でのオ…

ER-ミトコンドリア間MCSの乱れによるROS産生がガンの成長を抑制する (The EMBO Journal 2019年7月15日号掲載論文)

結論から言うと、ER-ミトコン間MCSの異常に起因するROSの産生が、カルシニューリンを酸化することでNFAT1の脱リン酸化を阻害し、ガンの成長を抑制するというメカニズムを提唱した論文。 本日は「Redox signals at the ER–mitochondria interface control mel…

E-SytsによるER-PM間MCSの形成にはCaイオンが必要である (The EMBO Journal 2015年7月22日号掲載論文)

結論から言うと、E-SytsE-SytsがER-PM間をテザリングするにはCaイオンが必要であることを示した論文。 本日は「Triggered Ca2+ influx is required for extended synaptotagmin 1‐induced ER‐plasma membrane tethering (extendedシナプトタグミン1によるER-…

mtDNA漏洩の新たなメカニズム (Science 2019年12月20日号掲載論文)

結論から言うと、VDACオリゴマーがmtDNA放出孔として機能していることを発見し、その下流で起きる炎症反応が自己免疫疾患に関与していることを示した論文。 本日は「VDAC oligomers form mitochondrial pores to release mtDNA fragments and promote lupus-…

ER-PM間MCSにおけるGRAMタンパク質の役割とは? (eLIFE 2018年9月22日号掲載論文)

結論から言うと、Ltc/LamホモログのGRAMD1a及びGRAMD2aが、小胞体膜と細胞膜が接触している領域 (ER-PM間MCS) において、様々な機能ドメインを決定づけるマスターレギュレーターであることを提唱した論文。 今年読んだ~の企画で、CCライセンス的にOKなら図…

ミトコン由来のROSを基点としたCaイオン動態の制御と心不全との関連 (PNAS 2015年9月8日号掲載論文)

結論から言うと、筋小胞体のRyRからのCaイオン漏洩→ミトコンドリアにおけるCaイオン過剰→ミトコンドリア機能不全→心不全発症という流れで病態の分子メカニズムを提唱した論文。 今年読んだ1番好きな論文のエントリを書いていて少し滞りがちでしたが、今日か…

ERとリソソーム間の接触部位に局在するIP3Rによる、Caイオンの輸送 (Cell Reports 2018年12月11日号掲載論文)

結論から言うと、ERとリソソーム間の接触部位に局在するIP3Rが、ERからリソソームにCaイオンの輸送をしていることを示した論文。 本日は「IP3 Receptors Preferentially Associate with ER-Lysosome Contact Sites and Selectively Deliver Ca2+ to Lysosome…

BAK/BAXはERカルシウム濃度を維持することでもアポトーシスを制御する (Science 2003年4月4日号掲載論文)

結論から言うと、BAK/BAXが既知のミトコンドリア外膜のシトクロムCなどの透過性を上げる役割だけでなく、ERカルシウム濃度を維持することでもアポトーシスを制御していることを示した論文。 本日は「BAX and BAK Regulation of Endoplasmic Reticulum Ca2+: …

ER-エンドソームのコンタクトサイトで機能するタンパク質の、BioID法による同定 (Cell 2018年9月20日号掲載論文)

結論から言うと、BioID法(後述)により、ER-エンドソームのコンタクトサイトで機能するER膜タンパク質TMCC1を同定し、そのTMCC1がアクチン制御因子のCoronin依存的にエンドソームの分裂を制御していることを示した論文。 本日は「A Novel Class of ER Membran…

バルクオートファジーでは、ミトコンドリアは伸長されることで分解から逃れている (Nature Cell Biology 2011年11月5日号掲載論文)

結論から言うと、飢餓によりバルクオートファジーが誘導される際には、PKAが活性化しており、PKAがDRP1をリン酸化することでミトコンドリアの分裂を阻害し、ミトコンドリアを伸長させることで、バルクオートファジーによるミトコンドリアの分解が起きないよ…

多細胞生物における、ミトコンドリア-ERを繋留するタンパク質の同定 (Science 2017年11月3日号掲載論文)

結論から言うと、酵母ERMES複合体のMMM1に対する機能ホモログとしてPDZD8を同定した上で、FIB-SEM法を用いてミトコンドリアとERのcontactを定量的に解析し、PDZD8がミトコンドリアとERのcontact及び、Caイオンのダイナミクス(ER→mitoへのCa流入)に必要であ…

老化細胞では、あえて細胞質に核由来DNAを蓄積させている? (Nature Communications 2018年4月28日号掲載論文)

結論から言うと、老化細胞において、(p16の下流で抑制されているE2F転写因子のターゲットである)DNaseの発現が低下することで、細胞質にDNAが蓄積し、cGAS-STING経路を介してSASPを誘導されていることを示した論文。 少し学会に行っていたので間があきまし…

ER-PMのテザリング分子が膜の曲率を変化させる_その2 (Developmental Cell 2019年11月18日号掲載論文)

結論から言うと、酵母のER-PMテザリング分子:Tcbが、膜の曲率の変化を介して、PMの脂質恒常性を保っていることを示した論文。 本日は「Tricalbin-Mediated Contact Sites Control ER Curvature to Maintain Plasma Membrane Integrity (トリカルビンを介し…

ER-PMのテザリング分子が膜の曲率を変化させる (Developmental Cell 2019年11月18日号掲載論文)

結論から言うと、酵母のER-PMテザリング分子:Tcbが、膜の曲率の変化を介して、PMの脂質恒常性を保っていることを示した論文。 本日は「Tricalbins Contribute to Cellular Lipid Flux and Form Curved ER-PM Contacts that Are Bridged by Rod-Shaped Struc…

ERからの持続的なCa漏洩によりCaイオンの波ダイナミクスを切り替える (journal of cellular physiology 2016年8月9日号掲載論文)

結論から言うと、IP3の導入により、持続的にERのCaイオンを欠乏させると、ストア作動性Caイオン流入が常にONになることで、Caシグナリングのオシレーションが消え、持続的なCaシグナルになることを示した論文。 2016年8月9日号のjournal of cellular physiol…

リソソームとのコンタクトによるミトコンドリア分裂の制御 (Nature 2018年2月15日号掲載論文)

結論から言うと、リソソームとミトコンドリアが接触しているコンタクサイトを基点として、ミトコンドリアの分裂が誘導されることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「Mitochondria–lysosome contacts regulate mitochondrial fission via RAB7 GT…

細胞外の環境によって誘導されるERストレス応答 (Cell 2019年11月21日オンライン掲載論文)

結論から言うと、細胞外ヒアルロン酸を感知してUPRERを誘導する新規ERストレス経路を同定し、鍵となるTMEM2タンパク質の過剰発現が寿命の延伸や病原体抵抗性につながることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「The Hyaluronidase, TMEM2, Promote…

PM-ER間における緻密なCaイオン制御 (Nature Communications 2014年4月17日号掲載論文)

結論から言うと、細胞膜と小胞体が形成するCaのやり取りにCaにより活性化されるClイオンチャネル(CaCC)が関与していることを示した論文。 (11月26日追記。このまとめはミスリードな部分が多く、修正中です) 2019年1月10日号のCellに掲載の「Mid-range Ca2+…

RNA顆粒-エンドソーム-ミトコンドリア:後期エンドソームがミトコンドリアタンパク質翻訳の足場になる (Cell 2019年1月10日号掲載論文)

結論から言うと、神経軸索において、後期エンドソームが足場となり、ミトコンドリアのタンパク質が局所翻訳されることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「Late Endosomes Act as mRNA Translation Platforms and Sustain Mitochondria in Axons.…

ミトコンドリアの正常な分布のためには、一定数を細胞膜につなぎとめておく? (PNAS 2013年1月22日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリアとERと細胞膜の繋留点(MECA)を構成するタンパク質が、ミトコンドリアをMECAにつなぎとめておくことで、ミトコンドリアの正常な分布を保っていることを示した論文。 2013年1月22日号のPNASに掲載の「Endoplasmic reticulum-ass…

呼吸鎖複合体の障害により寿命が延長する (Cell 2011年1月7日号掲載論文)

結論から言うと、呼吸鎖複合体の障害によって寿命が延長し、mitoUPRシグナルが全身に伝播することに依存することを示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、2011年1月7日号のCellに掲載の「The cell-non-autonomous nature of electron transp…

樹状突起はいかにして正しくはりめぐらされるのか? (Journal of Neuroscience 2010年7月21日号掲載論文)

結論から言うと、「樹状突起がいかにしてはりめぐらされるか?」に関する分子メカニズムに、Rpd3とProという遺伝子が関与していることを提案した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、2010年7月21日号のJournal of Neuroscienceに掲載の「Histone…

神経発生における細胞質翻訳とミトコンドリア翻訳の異なる影響 (nature neuroscience 2007年5月27日オンライン掲載論文)

結論から言うと、2型CMTの原因遺伝子GARSが軸索および細胞体末端の突起分岐形成に必要であることを明らかにし、その細胞質における翻訳は細胞体と軸索の両方に必要で、ミトコンドリアにおける翻訳は細胞体の突起分岐形成に必要であるということを示し、神経…

ミトコンドリア膜の生合成を促進する脂質の発見 (Journal of Cell Biology 2015年9月7日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリア膜タンパク質の生合成が促進する脂質を初めて示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2015年9月7日号のJournal of Cell Biologyに掲載された「The fusogenic lipid phosphatidic acid promotes the biogenesi…