トランスグルタミナーゼがER-mito間MCSの形成を制御する (Cell Reports 2018年12月26日号掲載論文)

結論から言うと、トランスグルタミナーゼ2がIP3R-GRP75-VDAC複合体の制御を通して、ER-mito間MCSの形成を亢進させ、ERからmitoへのCaフラックスを調節していることを示唆した論文。

 

本日は「Transglutaminase Type 2 Regulates ER-Mitochondria Contact Sites by Interacting with GRP75 (トランスグルタミナーゼタイプ2は、GRP75との相互作用によりER-ミトコンドリアの膜接触部位を調節する)」という論文で、イタリア Department of Biology, University of Rome “Tor Vergata,” の Dr. Mauro Piacentini のグループによる研究。(論文サイトへのlink→*1

 

トランスグルタミナーゼについて知らなかったので、こちらの総説を読みました。
トランスグルタミナーゼは蛋白質中のグルタミン残基とリシン残基との間にイソペプチ ド結合を形成し、タンパク質の架橋構造の形成を促進するようです。他にも様々な機能があるようです。

トランスグルタミナーゼがMAMを制御する意義というのがよく分からなかったです。

 

論文サイトからgraphical abstを引用します

https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S2211124718318850-fx1.jpg

 

興味を持たれた方はabstractもどうぞ。

Transglutaminase type 2 (TG2) is a multifunctional enzyme that plays a key role in mitochondria homeostasis under stressful cellular conditions. TG2 interactome analysis reveals an enzyme interaction with GRP75 (glucose-regulated protein 75). GRP75 localizes in mitochondria-associated membranes (MAMs) and acts as a bridging molecule between the two organelles by assembling the IP3R-GRP75-VDAC complex, which is involved in the transport of Ca2+ from the endoplasmic reticulum (ER) to mitochondria. We demonstrate that the TG2 and GRP75 interaction occurs in MAMs. The absence of the TG2-GRP75 interaction leads to an increase of the interaction between IP3R-3 and GRP75; a decrease of the number of ER-mitochondria contact sites; an impairment of the ER-mitochondrial Ca2+ flux; and an altered profile of the MAM proteome. These findings indicate TG2 is a key regulatory element of the MAMs.

(私訳と勝手な注釈) 

トランスグルタミナーゼタイプ2(TG2)は、ストレスがかかった細胞条件下でミトコンドリアホメオスタシスに重要な役割を果たす多機能酵素です。 TG2インタラクトーム分析により、GRP75(グルコース調節タンパク質75)との酵素相互作用が明らかになりました。 GRP75はミトコンドリア関連膜(MAM)[*MAM=ERとmito間のMCSで良いかと]に局在し、IP3R-GRP75-VDAC複合体を組み立てることにより、小胞体(ER)からミトコンドリアへのCa2 +の輸送に関与し、2つのオルガネラ間の架橋分子として機能します。著者らはTG2とGRP75の相互作用がMAMで発生することを示します。 TG2-GRP75の相互作用を欠損させると、IP3R-3とGRP75間の相互作用が増加し[*恐らくTG2とIP3RでGRP75との結合を競合的に取り合っている]、ER-ミトコンドリア接触部位の数が減少し、ER-ミトコンドリア間のCa2+フラックスは障害され、MAMプロテオームのプロファイルが変化しました。これらの調査結果は、TG2がMAMの重要な制御因子であることを示しています。