ER-phagyはミトコンドリアの酸化的リン酸化レベル, 及びER上で起こるUFM化によって制御される (Cell 2020年3月19日号掲載論文)

結論から言うと、ER-phagyの制御機構として、ミトコンドリアの酸化的リン酸化を阻害するとバルクオートファジーはは影響を受けずER-phagyのみが阻害されること、[リボソームタンパク質RPL26] や [ERタンパク質のグリコシル化を担うRibophorin 1] のUFMylationがER-phagyに必要であること、を示した論文。

 

本日は「A Genome-wide ER-phagy Screen Highlights Key Roles of Mitochondrial Metabolism and ER-Resident UFMylation (ゲノムワイドなER-phagyスクリーニングにより、ミトコンドリア代謝とERにおけるUFMylationの重要な役割が明らかとなった)」という論文で、米国 Innovative Genomics Institute, University of California, Berkeley の Jacob E. Corn のグループ(どういったラボ?→*1)による研究。(論文サイトへのlink→*2

 

飢餓によってER-phagyが誘導される際に、アップレギュレーションあるいはダウンレギュレーションされる因子をCRISPRiスクリーニングにより探索ました。オートファジー関連因子やERストレス因子などがヒットした一方で、予想外なことに、ミトコンドリアの酸化的リン酸化に関与する遺伝子とユビキチン様翻訳後修飾であるUFM化 (UFMylation)に関与する遺伝子が同定されたようです。

前者に関しては、酸化的リン酸化を阻害するとバルクオートファジーは影響を受けず、ER-phagyのみが阻害されることが明らかとなりました(ミトコンドリアが機能不全になるとマイトファジーを亢進させたいので、ER-phagyしている場合じゃない、ということ?)。

後者に関して、RPL26やRibophorin 1 (RPN1) がUFMylationされることがER-phagyに必要であること、UFMylation依存性のER-phagyを阻害するとミスフォールドタンパク質が蓄積し、ERストレス応答(UPR)が誘導されることが明らかとなりました。
著者らは、このUFMylationが目印となって、ER-phagyが誘導されるのだろうというモデルを提唱しています。

 

興味を持たれた方はabstractもどうぞ。

Selective autophagy of organelles is critical for cellular differentiation, homeostasis, and organismal health. Autophagy of the ER (ER-phagy) is implicated in human neuropathy but is poorly understood beyond a few autophagosomal receptors and remodelers. By using an ER-phagy reporter and genome-wide CRISPRi screening, we identified 200 high-confidence human ER-phagy factors. Two pathways were unexpectedly required for ER-phagy. First, reduced mitochondrial metabolism represses ER-phagy, which is opposite of general autophagy and is independent of AMPK. Second, ER-localized UFMylation is required for ER-phagy to repress the unfolded protein response via IRE1α. The UFL1 ligase is brought to the ER surface by DDRGK1 to UFMylate RPN1 and RPL26 and preferentially targets ER sheets for degradation, analogous to PINK1-Parkin regulation during mitophagy. Our data provide insight into the cellular logic of ER-phagy, reveal parallels between organelle autophagies, and provide an entry point to the relatively unexplored process of degrading the ER network.

(私訳と勝手な注釈) 

オルガネラの選択的なオートファジーは、細胞の分化、恒常性維持、および生物の健康に不可欠である。小胞体のオートファジー(ER-phagy)はヒトの神経障害に関与しているが、いくつかのオートファゴソーム受容体やリモデラーを除いてはあまり理解されていない。我々は、ER-phagyレポーターとゲノムワイドCRISPRiスクリーニングを用いて、信頼性の高い200のヒトER-phagy因子を同定した。その結果、予想外に2つの経路がER-phagyに必要とされていた。第一に、ミトコンドリア代謝の低下は、一般的なオートファジーとは逆で、ER-phagyを抑制し、この反応はAMPKに依存しない。第二に、ER-ファジーがIRE1αを介したアンフォールドタンパク応答を抑制するためには、ER局在化UFMylationが必要である。UFL1リガーゼはDDRGK1によってER表面にリクルートされ、RPN1およびRPL26をUFMylateし、分解のためにERシートを優先的に標的化する。この反応はマイトファジー中のPINK1-Parkin制御に類似している。我々のデータは、ER-ファジーのオルガネラオートファジーとの類似性を明らかにし、比較的未解明なことの多いERネットワークの分解プロセスへの入り口を提供している。

*1:このグループはCRISPRの技術開発に注力しているラボのようですね。--The Corn Lab develops and uses next-generation genome editing and regulation technologies. We work on both fundamental biological discovery and potential therapies for human genetic diseases. Our focus is the mechanisms by which cells repair their DNA, maintain and differentiate hematopoietic stem cells, and dispose of entire organelles. Through technology development, mechanistic cellular biochemistry, and translational projects, we are working to unravel complex cellular phenotypes to further biological understanding and improve human health.-- https://cornlab.com/ より

*2:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867420301616?via%3Dihub#!