小胞体は、"膜のない"オルガネラとも接触する (Science 2020年2月31日号掲載論文)

結論から言うと、ERがP-bodiesやストレスgranulesなどのドロップレットともコンタクサイトと形成することを明らかにし、その接触点を基点にそれらのドロップレットが分裂することを示した論文。

 

本日は「Endoplasmic reticulum contact sites regulate the dynamics of membraneless organelles. (小胞体の接触部位は、膜のないオルガネラのダイナミクスを調節する)」という論文で、米国 Department of Molecular, Cellular, and Developmental Biology, University of Colorado, Boulder, 及び HHMI の Dr. Gia K. Voeltz のグループによる研究。(論文サイトへのlink→*1

 

興味を持たれた方はabstractもどうぞ。

Tethered interactions between the endoplasmic reticulum (ER) and other membrane-bound organelles allow for efficient transfer of ions and/or macromolecules and provide a platform for organelle fission. Here, we describe an unconventional interface between membraneless ribonucleoprotein granules, such as processing bodies (P-bodies, or PBs) and stress granules, and the ER membrane. We found that PBs are tethered at molecular distances to the ER in human cells in a tunable fashion. ER-PB contact and PB biogenesis were modulated by altering PB composition, ER shape, or ER translational capacity. Furthermore, ER contact sites defined the position where PB and stress granule fission occurs. We thus suggest that the ER plays a fundamental role in regulating the assembly and disassembly of membraneless organelles.

(私訳と勝手な注釈) 

小胞体(ER)と他の膜に包まれたオルガネラが接触して相互作用することにより、イオンおよび/または、高分子の効率的な移動が可能になり、オルガネラ分裂のプラットフォームが提供されています。この論文で著者らは、processing bodies(P-bodies, PB)とストレス顆粒などの、膜で囲われていない、リボ核酸とタンパク質の複合体で形成される顆粒が、ER膜との間で形成する型破りな相互作用を報告しました。P-bodiesは、微調整が可能な様式で、ヒト細胞のERに分子距離でテザリングしていることを発見しました。 ER-PBのコンタクトおよびPBの生合成は、PBの組成、ERの形状、またERの翻訳能力を変化させることにより変動しました。 さらに、ERとこれらのdropletの接触部位が、PBおよびストレス顆粒の分裂が発生する位置であることが明らかとなりました。 したがって、ERは膜のないオルガネラのassembly, disassemblyの両方の調節においてfundamentalな役割を果たすことが示唆されました。