老化細胞では、あえて細胞質に核由来DNAを蓄積させている? (Nature Communications 2018年4月28日号掲載論文)

結論から言うと、老化細胞において、(p16の下流で抑制されているE2F転写因子のターゲットである)DNaseの発現が低下することで、細胞質にDNAが蓄積し、cGAS-STING経路を介してSASPを誘導されていることを示した論文。 少し学会に行っていたので間があきまし…

今週見た中で面白そうな論文(2019年11月第5週)

Cell誌CO2固定する大腸菌https://www.the-scientist.com/news-opinion/lab-evolved-e--coli-makes-energy-solely-from-carbon-dioxide-66788https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)31230-9https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)312…

ER-PMのテザリング分子が膜の曲率を変化させる_その2 (Developmental Cell 2019年11月18日号掲載論文)

結論から言うと、酵母のER-PMテザリング分子:Tcbが、膜の曲率の変化を介して、PMの脂質恒常性を保っていることを示した論文。 本日は「Tricalbin-Mediated Contact Sites Control ER Curvature to Maintain Plasma Membrane Integrity (トリカルビンを介し…

ER-PMのテザリング分子が膜の曲率を変化させる (Developmental Cell 2019年11月18日号掲載論文)

結論から言うと、酵母のER-PMテザリング分子:Tcbが、膜の曲率の変化を介して、PMの脂質恒常性を保っていることを示した論文。 本日は「Tricalbins Contribute to Cellular Lipid Flux and Form Curved ER-PM Contacts that Are Bridged by Rod-Shaped Struc…

ERからの持続的なCa漏洩によりCaイオンの波ダイナミクスを切り替える (journal of cellular physiology 2016年8月9日号掲載論文)

結論から言うと、IP3の導入により、持続的にERのCaイオンを欠乏させると、ストア作動性Caイオン流入が常にONになることで、Caシグナリングのオシレーションが消え、持続的なCaシグナルになることを示した論文。 2016年8月9日号のjournal of cellular physiol…

リソソームとのコンタクトによるミトコンドリア分裂の制御 (Nature 2018年2月15日号掲載論文)

結論から言うと、リソソームとミトコンドリアが接触しているコンタクサイトを基点として、ミトコンドリアの分裂が誘導されることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「Mitochondria–lysosome contacts regulate mitochondrial fission via RAB7 GT…

細胞外の環境によって誘導されるERストレス応答 (Cell 2019年11月21日オンライン掲載論文)

結論から言うと、細胞外ヒアルロン酸を感知してUPRERを誘導する新規ERストレス経路を同定し、鍵となるTMEM2タンパク質の過剰発現が寿命の延伸や病原体抵抗性につながることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「The Hyaluronidase, TMEM2, Promote…

今週見た中で面白そうな論文(2019年11月第4週)

Science誌癌シグナルの細胞間伝達:Hippoが亢進してガンになった細胞の周りではガンが抑制されている??https://science.sciencemag.org/content/366/6468/1029タンパクデザインのブレイクスルーhttps://science.sciencemag.org/content/366/6468/1024(→11…

PM-ER間における緻密なCaイオン制御 (Nature Communications 2014年4月17日号掲載論文)

結論から言うと、細胞膜と小胞体が形成するCaのやり取りにCaにより活性化されるClイオンチャネル(CaCC)が関与していることを示した論文。 (11月26日追記。このまとめはミスリードな部分が多く、修正中です) 2019年1月10日号のCellに掲載の「Mid-range Ca2+…

RNA顆粒-エンドソーム-ミトコンドリア:後期エンドソームがミトコンドリアタンパク質翻訳の足場になる (Cell 2019年1月10日号掲載論文)

結論から言うと、神経軸索において、後期エンドソームが足場となり、ミトコンドリアのタンパク質が局所翻訳されることを示した論文。 2019年1月10日号のCellに掲載の「Late Endosomes Act as mRNA Translation Platforms and Sustain Mitochondria in Axons.…

ミトコンドリアの正常な分布のためには、一定数を細胞膜につなぎとめておく? (PNAS 2013年1月22日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリアとERと細胞膜の繋留点(MECA)を構成するタンパク質が、ミトコンドリアをMECAにつなぎとめておくことで、ミトコンドリアの正常な分布を保っていることを示した論文。 2013年1月22日号のPNASに掲載の「Endoplasmic reticulum-ass…

論文のアウトプットの方法を色々考えていたら、結局むかしの自分が考えたやり方が1番合っていたという話。

決意表明ふたたび。今後のアウトプットの方式を変えます。 タイトルにある、「結局むかしの自分が考えたやり方」というのはこちらから読めます。 sudachi.hateblo.jp どうもこんにちは。 最近わりと時間に余裕が持てていて、モチベーションの高まりを感じて…

第1回シンギュラリティ生物学国際トレーニングコースに行ってきました

第1回シンギュラリティ生物学国際トレーニングコースという楽しいイベントに行ってきましたので、忘れないようにまとめときます! singularity-bio.jp いやいや、シンギュラリティ生物学って何よ!?って人はこちらもどうぞ。 singularity-bio.jp この記事で…

卒業したよ。4年間の振り返りとOISTでの目標。

// この度、4年間通った大学を卒業いたしました。 振り返ります。 入学する前:受験 思えば入学前こそが、大学4年間の過ごし方のターニングポイントだった気がします。受験に失敗したことです。僕はもともと某旧帝大を志望していたんです。しかしセンター試…

アメリカに4ヶ月研究留学した感想

4ヶ月間、アメリカのとある研究所に留学して来ました。 とりあえず、技術的にも、サイエンスに対する向き合い方という意味でも、思ったより多くのことを学ぶことができました。 「なんか楽しそうだから」という超適当な理由で留学してしまいましたが、あり得…

ブログから離れてみて感じたこと

このブログは2ヶ月ほど前から、毎日続けることを目標にして論文のレビューなどを書いてきました。 しかしこの半月ほど、ブログを更新しませんでした。 「毎日論文読んでたら、本業の実験とか書類かくのが滞ってない?自分のキャパ考えてブログ更新ストップす…

OISTの倍率って実際どのくらい?コネなし地方大の学部生がOIST大学院合格するには?

// OISTってご存知でしょうか? すごく素敵な大学院ですよ! 入学すれば、院生なのに、月20万もらいながら、最新の設備に囲まれて研究ができます!! (沖縄なのに)公用語も英語で、海外の大学院みたいなところなのです*1。OIST初めて聞いた方はこの動画に…

呼吸鎖複合体の障害により寿命が延長する (Cell 2011年1月7日号掲載論文)

結論から言うと、呼吸鎖複合体の障害によって寿命が延長し、mitoUPRシグナルが全身に伝播することに依存することを示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、2011年1月7日号のCellに掲載の「The cell-non-autonomous nature of electron transp…

樹状突起はいかにして正しくはりめぐらされるのか? (Journal of Neuroscience 2010年7月21日号掲載論文)

結論から言うと、「樹状突起がいかにしてはりめぐらされるか?」に関する分子メカニズムに、Rpd3とProという遺伝子が関与していることを提案した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、2010年7月21日号のJournal of Neuroscienceに掲載の「Histone…

勝手に改訂版:落合陽一の論文を爆速で読むフォーマット

// <目次> こんな方に向けて書いた記事です 落合陽一の論文を爆速で読むフォーマットとは?? どうしてこの素晴らしいフォーマットを活用できないのか? 僕が考えた勝手に改訂版 結論 こんな方に向けて書いた記事です いやあ論文が読めない。読まないといけ…

はてなブログ:記事が消えたときの対処法

// はてなブログで記事が消えてしまうことってありませんか? 僕は今までに2回なりました。 www.tanegashimapi.com この人と同じ状況でした。ゴミ箱にもないのです。 過去にアップしたはずの記事が、なぜか消えてしまっていて悲しい気持ちです。 でも確かに…

神経発生における細胞質翻訳とミトコンドリア翻訳の異なる影響 (nature neuroscience 2007年5月27日オンライン掲載論文)

結論から言うと、2型CMTの原因遺伝子GARSが軸索および細胞体末端の突起分岐形成に必要であることを明らかにし、その細胞質における翻訳は細胞体と軸索の両方に必要で、ミトコンドリアにおける翻訳は細胞体の突起分岐形成に必要であるということを示し、神経…

ミトコンドリア膜の生合成を促進する脂質の発見 (Journal of Cell Biology 2015年9月7日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリア膜タンパク質の生合成が促進する脂質を初めて示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2015年9月7日号のJournal of Cell Biologyに掲載された「The fusogenic lipid phosphatidic acid promotes the biogenesi…

ParkinによるMFN2のユビキチン化の抑制により腫瘍を抑える (Cancer Letters 2018年7月5日オンライン掲載論文)

結論から言うと、メラノーマに対して、MFN2は腫瘍の成長・転移を抑える方向にはたらいており、MFN2に直接結合してユビキチン化を行うParkinをKOすることにより、腫瘍を抑えることができることを示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2018…

膵臓がん細胞におけるMfn2のインパクト (International Journal of Oncology 2018年4月26日オンライン掲載論文)

結論から言うと、膵臓がんの治療法として、miR-125aを導入することによりがん細胞で異常に発現しているMfn2の発現量を下げ、アポトーシスを亢進、転移を抑制させることを提案した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2018年9月3日International…

ALSに対するL-アルギニン治療 (BBRC 2009年7月10日号掲載論文)

結論から言うと、L-アルギニンを加えることによって、ALSモデルマウスとvitroの運動神経における神経変性がレスキューされることを示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2009年7月10日号のBiochemical and Biophysical Research Communica…

SLC25A46の分子病態には輸送体としての機能だけでなく他タンパク質との相互作用を考えることが重要 (Human Mutation 2018年9月3日オンライン掲載論文)

結論から言うと、神経変性疾患の原因遺伝子SLC25A46はミトコンドリアトランスポーターファミリーに属するが、トランスポーターの機能とは別に、クリステ形成に関与するタンパク質と複合体を形成することが、疾患の分子病態を考える上で重要であることを示唆…

Mfn2によるPDモデルのアポトーシスの阻害 (Experimental and Therapeutic Medicine 2018年8月10日オンライン掲載論文)

結論から言うと、MFN2の過剰発現がロテノン*1処理をした細胞のカスパーゼ3活性を落とし、細胞死を妨げることを示した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、2018年8月10日のExperimental and Therapeutic Medicineにオンライン掲載の「MFN2 amelio…

ER-ミトコンドリア連結部位を経由したミトコンドリアへのCaイオン取り込みの分子メカニズムと疾患における意義 (PNAS 2018年9月5日オンライン掲載論文)

結論から言うと、小胞体とミトコンドリアの接触部位で、Ca2+イオンが小胞体からミトコンドリアに輸送される分子メカニズムとして、PINK1が小胞体とミトコンドリアの連結度合いに対してポジティブに、Miroがネガティブにはたらいていることを示し、ミトコンド…

Hippo経路のYapがNMJの形成と再生の機能を持つ。 (Journal of Neuroscience 2017年2月17日オンライン掲載論文)

結論から言うと、Yapが神経筋接合部の形態形成と再生にポジティブにはたらく因子であることを示し、その機能にはHippoの下流に存在するWntシグナル*1が必要であることを提案した論文。 ということで今回abstractを全訳するのは、 2017年2月17日Journal of Ne…