細胞老化を味方に筋再生を促す (Nature Communications 2020年2月14日号掲載論文)

結論から言うと、エクササイズをしたとき、間葉系前駆細胞が「細胞老化」を起こし、免疫細胞を動員することで老化細胞をクリアランスすることが、筋の再生・肥大を促すことを示した論文。 本日は「Exercise enhances skeletal muscle regeneration by promot…

ERストレスセンサーがER-PM間MCSを調節する (Molecular Cell 2017年3月2日号掲載論文)

結論から言うと、ERストレスセンサーであるPERKがアクチン結合タンパク質フィラミンAと相互作用していることを同定し、ER Ca欠乏・細胞質 Caリッチな状況で、PERK-FLNA相互作用がER-PM間MCS形成を促進することを示した論文。 本日は「The ER Stress Sensor P…

細胞が老化する過程で、ピルビン酸をアセチルCoAに代謝する反応が促進する (Nature 2013年5月19日号掲載論文)

結論から言うと、がん遺伝子誘発性細胞老化(OIS)状態において、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)が活性化し、TCAサイクルが亢進して細胞にストレスがかかっていることを示した論文。 本日は「A key role for mitochondrial gatekeeper pyruvate dehydrogen…

トランスグルタミナーゼがER-mito間MCSの形成を制御する (Cell Reports 2018年12月26日号掲載論文)

結論から言うと、トランスグルタミナーゼ2がIP3R-GRP75-VDAC複合体の制御を通して、ER-mito間MCSの形成を亢進させ、ERからmitoへのCaフラックスを調節していることを示唆した論文。 本日は「Transglutaminase Type 2 Regulates ER-Mitochondria Contact Site…

MICU1はミトコンドリアへの過剰なCaイオン流入を防ぐ門番である (Cell 2012年10月26日号掲載論文)

結論から言うと、MICU1がミトコンドリアへのCaイオン流入孔を形成するMCUの活性を調節することで、過剰なCa流入に起因するROSの産生やアポトーシスの亢進を防いでいることを示した論文。 本日は「MICU1 Is an Essential Gatekeeper for MCU-Mediated Mitocho…

小胞体は、"膜のない"オルガネラとも接触する (Science 2020年2月31日号掲載論文)

結論から言うと、ERがP-bodiesやストレスgranulesなどのドロップレットともコンタクサイトと形成することを明らかにし、その接触点を基点にそれらのドロップレットが分裂することを示した論文。 本日は「Endoplasmic reticulum contact sites regulate the d…

インフラマソームがミトコンドリアの機能不全を感知する? (Nature 2010年12月1日号掲載論文)

結論から言うと、マイトファジーの阻害でROSを生成する機能不全ミトコンドリアが蓄積し、それがインフラマソームを活性化することを示した論文。 本日は「A role for mitochondria in NLRP3 inflammasome activation (NLRP3インフラマソーム活性化におけるミ…

神経軸索が損傷した時、ミトコンドリアのCaイオン取り込み因子のmRNA分解をキャンセルすることで、スムーズにCaイオンを伝達する (Current Biology 2020年1月23日号掲載論文)

結論から言うと、神経軸索が損傷した際に、mRNA分解因子CAR-1の活性が落ち、micu-1(ミトコンドリアへのCaイオン取込チャネルの制御因子)のmRNAが分解から免れることで、ミトコンドリア内Ca濃度が上昇することが、軸索の再成長に重要であることを示した論文…

ER-PMコンタクトサイトで起こるイノシトールリン酸系分子のフィードバック調節 (Cell Reports 2013年11月14日号掲載論文)

結論から言うと、ER-PM間MCSを通して、E-Syt1とNir2がPIP2やIP3、及びカルシウムシグナルのレベルを制御していることを示した論文。 本日は「Feedback Regulation of Receptor-Induced Ca2+ Signaling Mediated by E-Syt1 and Nir2 at Endoplasmic Reticulum…

ミトコンドリアへのカルシウムイオンの取り込みは、細胞内カルシウム量の変化に依存して転写レベルで制御されている (Science Signaling 2015年3月3日号掲載論文)

結論から言うと、ERを介した細胞内カルシウムイオン量の変化に応じて、ミトコンドリアのカルシウム取り込みチャネルの発現量がCREBを介して変化し、ミトコンドリアの恒常性が維持されていることを示した論文。 本日は「Ca2+ signals regulate mitochondrial …

ミトコンドリア外膜の脂質組成に依存したVDAC活性の制御 (Journal of Biological Chemistry 2006年9月21日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリア外膜に存在するVDACが、ミトコンドリア外膜の脂質の組成によって、異なる局在、及び開閉の活性を持つことを示した論文。 本日は「Voltage Gating of VDAC Is Regulated by Nonlamellar Lipids of Mitochondrial Membranes (VD…

オートファジーが身体に有益か有害かは、ミトコンドリアの膜透過性によって決まる? (Cell 2019年4月4日号掲載論文)

結論から言うと、オートファジーを介した寿命の延伸には、ミトコンドリアの膜透過性を低く抑えることが必要であることを示した論文。 本日は「Mitochondrial Permeability Uncouples Elevated Autophagy and Lifespan Extension (ミトコンドリアの膜透過性上…

絶賛成長期なので、色々と上手くいかないこともある

こんにちは。 最近全然毎日ブログに論文をアウトプット出来ていなくて精神的にじわじわ来ています。でも、「ほぼ毎日更新します」とブログの説明とツイッターのプロフィールに書いてあるのは、Dを取るまでは消しません。 これは恐らく仕組み作りが良くないん…

ER-mito間のMCSと、Caイオン動態 (Molecular Cell 2010年7月9日号掲載論文)

結論から言うと、ミトコンドリアとERまたはPMとの接触点のイメージング、及びそこにおけるCa動態をモニターした論文。 本日は「Imaging Interorganelle Contacts and Local Calcium Dynamics at the ER-Mitochondrial Interface (ER-ミトコンドリア間でのオ…

自分用メモ:2010年代の振り返り

2010年代の振り返り 総括。これまでの10年間はどんな10年間だったか。 2010年(中学2年生) 塾で勉強した。部活もがんばった。 2011年(中学3年生) 塾で勉強した。結構頑張って上位をキープしてた。 2012年(高校1年生) 高校受験した。志望校に受かって天…

ER-ミトコンドリア間MCSの乱れによるROS産生がガンの成長を抑制する (The EMBO Journal 2019年7月15日号掲載論文)

結論から言うと、ER-ミトコン間MCSの異常に起因するROSの産生が、カルシニューリンを酸化することでNFAT1の脱リン酸化を阻害し、ガンの成長を抑制するというメカニズムを提唱した論文。 本日は「Redox signals at the ER–mitochondria interface control mel…

E-SytsによるER-PM間MCSの形成にはCaイオンが必要である (The EMBO Journal 2015年7月22日号掲載論文)

結論から言うと、E-SytsE-SytsがER-PM間をテザリングするにはCaイオンが必要であることを示した論文。 本日は「Triggered Ca2+ influx is required for extended synaptotagmin 1‐induced ER‐plasma membrane tethering (extendedシナプトタグミン1によるER-…

2020年、年始の決意表明

あけましておめでとうございます!2020年代が始まったということで、2019年の振り返りと決意表明的な記事です。 2019年の振り返り まずは1年前(2019年1月1日)にツイートした内容から。こんな目標を立てていました。 2019やりたいこと(サイエンスを全力でや…

mtDNA漏洩の新たなメカニズム (Science 2019年12月20日号掲載論文)

結論から言うと、VDACオリゴマーがmtDNA放出孔として機能していることを発見し、その下流で起きる炎症反応が自己免疫疾患に関与していることを示した論文。 本日は「VDAC oligomers form mitochondrial pores to release mtDNA fragments and promote lupus-…

ER-PM間MCSにおけるGRAMタンパク質の役割とは? (eLIFE 2018年9月22日号掲載論文)

結論から言うと、Ltc/LamホモログのGRAMD1a及びGRAMD2aが、小胞体膜と細胞膜が接触している領域 (ER-PM間MCS) において、様々な機能ドメインを決定づけるマスターレギュレーターであることを提唱した論文。 今年読んだ~の企画で、CCライセンス的にOKなら図…

今週見た中で面白そうな論文(2019年12月第3, 4週)

Nature誌 社会行動とIL-17http://aasj.jp/news/watch/11969 メトフォルミンは食欲も抑えるhttp://aasj.jp/news/watch/11992 ヒストン修飾の「リーダー:reader」の機能獲得型変異が、細胞運命を異常にしてしまう。https://www.nature.com/articles/s41586-01…

ヒストンアセチル化と転写開始はどちらが先か?の補足(随時更新)

メリークリスマスです! 今日は、2日前に書いた記事の補足をしたいと思います! まだ読んでいないという方はこちら。 sudachi.hateblo.jp もう読んだという方も、もう一度チラ見してみてね。結構リバイスしました~ 何日か寝かしていると、やっぱりたくさん…

ミトコン由来のROSを基点としたCaイオン動態の制御と心不全との関連 (PNAS 2015年9月8日号掲載論文)

結論から言うと、筋小胞体のRyRからのCaイオン漏洩→ミトコンドリアにおけるCaイオン過剰→ミトコンドリア機能不全→心不全発症という流れで病態の分子メカニズムを提唱した論文。 今年読んだ1番好きな論文のエントリを書いていて少し滞りがちでしたが、今日か…

ヒストンアセチル化と転写開始はどちらが先か?

この記事では、2019年9月30日にbioRxivで公開された、 “The majority of histone acetylation is a consequence of transcription” 「ヒストンアセチル化の大部分は転写の結果として起きる」 というプレプリント論文を紹介します。 #今年読んだ一番好きな論…

ERとリソソーム間の接触部位に局在するIP3Rによる、Caイオンの輸送 (Cell Reports 2018年12月11日号掲載論文)

結論から言うと、ERとリソソーム間の接触部位に局在するIP3Rが、ERからリソソームにCaイオンの輸送をしていることを示した論文。 本日は「IP3 Receptors Preferentially Associate with ER-Lysosome Contact Sites and Selectively Deliver Ca2+ to Lysosome…

BAK/BAXはERカルシウム濃度を維持することでもアポトーシスを制御する (Science 2003年4月4日号掲載論文)

結論から言うと、BAK/BAXが既知のミトコンドリア外膜のシトクロムCなどの透過性を上げる役割だけでなく、ERカルシウム濃度を維持することでもアポトーシスを制御していることを示した論文。 本日は「BAX and BAK Regulation of Endoplasmic Reticulum Ca2+: …

今週見た中で面白そうな論文(2019年12月第1, 2週)

Nature誌Plasma membrane に V-ATPase ?https://www.nature.com/articles/s41586-019-1831-x Cell誌アストロサイトにおけるcPLA2-MAVSを介した代謝制御と神経細胞への効果https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)31272-3 Neuron誌細胞内に抗体?…

ER-エンドソームのコンタクトサイトで機能するタンパク質の、BioID法による同定 (Cell 2018年9月20日号掲載論文)

結論から言うと、BioID法(後述)により、ER-エンドソームのコンタクトサイトで機能するER膜タンパク質TMCC1を同定し、そのTMCC1がアクチン制御因子のCoronin依存的にエンドソームの分裂を制御していることを示した論文。 本日は「A Novel Class of ER Membran…

バルクオートファジーでは、ミトコンドリアは伸長されることで分解から逃れている (Nature Cell Biology 2011年11月5日号掲載論文)

結論から言うと、飢餓によりバルクオートファジーが誘導される際には、PKAが活性化しており、PKAがDRP1をリン酸化することでミトコンドリアの分裂を阻害し、ミトコンドリアを伸長させることで、バルクオートファジーによるミトコンドリアの分解が起きないよ…

多細胞生物における、ミトコンドリア-ERを繋留するタンパク質の同定 (Science 2017年11月3日号掲載論文)

結論から言うと、酵母ERMES複合体のMMM1に対する機能ホモログとしてPDZD8を同定した上で、FIB-SEM法を用いてミトコンドリアとERのcontactを定量的に解析し、PDZD8がミトコンドリアとERのcontact及び、Caイオンのダイナミクス(ER→mitoへのCa流入)に必要であ…