OISTの倍率って実際どのくらい?コネなし地方大の学部生がOIST大学院合格するには?
OISTってご存知でしょうか?
すごく素敵な大学院ですよ!
入学すれば、
院生なのに、
月20万もらいながら、
最新の設備に囲まれて研究ができます!!
(沖縄なのに)公用語も英語で、海外の大学院みたいなところなのです*1。OIST初めて聞いた方はこの動画に圧倒されてみて下さい。
それでは今回は、OIST 大学院に合格するために僕ががんばったことをまとめてみます。
追記:
最近の倍率を調べてみたところ、
2020年 (令和2年) 度の倍率は全体で18倍くらい
国内からの応募に限定すると2倍くらいだったようです
画像は令和2年度の報告書の101ページ目からの引用。
<目次>
そもそも OIST の院試ってどんな感じで進むの?倍率は?
ざっくりとまとめると、
書類選考により200-400人の応募*2の中から、約80名に絞られ、面接に招待される
↓
面接で約50名が最終的に合格する
という感じです。倍率10倍以上!!なんて記事をたまに見かけますが少なくとも2016年までは10倍以下ですね。あと書類通過後の倍率は例年2倍もないので、面接に呼ばれた時点でかなりいいところまで来てると自信持っていいと思います。また、学士卒の割合を見ると、やはり修士を出て入学する人が多いようですが、学部生にも全然チャンスがあることがわかります。
具体的な院試の概要をまとめると、
書類審査は、
という感じです。
面接は、
- OISTの教員 (ランダムだけど自分の専門に近い人が1人はいる) による1対1の面接30分×5回
- 自分の専門から遠い先生との面接には、素人にもわかりやすく自分の研究を説明する能力が求められる (とはいえほとんど雑談形式だったので気楽に。) 「なんでOIST受けたんですか~?」のように何げない質問が飛んでくるので、正直に答える。応募者の性格がOISTにマッチしてるかを観察されているイメージです。正直面接まで来てる人でこのタイプの面接で差はつかないと思う。
- 専門に近い先生との面接には、ガチの専門性を持ってるのか、ゴリゴリの専門トークが繰り広げられる。ここで盛り上がれば面接を合格できる可能性が高い気がする。
内容についてもっと詳しく知りたい方はこちらの
沖縄高専の方のページも参照されてください。(この記事の中にある3時間の筆記試験は僕の時はありませんでした。)
院試勉強をどのようにこなしたか?研究や英語の勉強との両立は?
当時の僕のスペックを振り返ると、、
- 地方大の学部4年生
- OISTの内部に知り合いなんて1人もいない。OISTの先生にも当然コネなし
- インターンなどでOISTに行ったこともなし
- TOEFL受けたことないけどTOEICは800くらい
- 研究は好きで2年からやってたのでファーストで査読付き論文1本、学会発表複数
- 面接後に約半年のアメリカ留学予定
という感じでした。もともと海外の大学院に行きたかったので、英語サークルに入ってたのと、研究が好きで2年の時から研究室に出入りさせていただいていたことがラッキーでした。もちろん必ずしも論文を持っていたり、学会発表の経験は必要ないと思います。
院試勉強に関してですが、結論から言うとしてません。笑
OISTの入試の形式を見るとわかると思いますが、この入試は座学的な知識を問うという側面がほぼないので、院試のための勉強という行為は一切しませんでした。*3
英語に関してはTOEFLのスコアある程度欲しいなと思っていたのですが、OISTのホームページ等を見る限りは英語力で足切りすることはないっぽかったので、ほぼ対策なしでTOEFLに臨みました。もちろん結果はさんざんでした。。。*4
勉強も英語もせずにひたすら研究してました。なので、自分の研究についての知識はかなりついていたと思います。
書類作成
必要な書類をもう一度リストアップすると、
推薦書 (書式自由)・志望動機 (400wordsで科学的な興味と入学してしたいことの作文)・TOEFL・成績・GREとかあればという感じです。ちなみに僕の直感で大事だと思った順に並べてます。
推薦書はめっちゃ大事なので次の項に書くとして、志望動機はとりあえず日本語ベースでもいいので書いたらすぐに色んな人に見せましょう。研究室に張り出して全員に見てもらうくらいの覚悟いきましょう。特に推薦書を依頼する先生には、自分の志望動機と推薦書に一貫性がないといけないので、事前に志望動機を読んでもらうことを勧めます。
以降はぶっちゃけそこまで重要じゃない (と思う) 書類について。
TOEFLは上で書いた通りほんとに残念な点数しか取れていません。それでも何とかなるので安心して下さい。OISTがTOEFL最低点を設定していないのは本当です。
成績は提出が求められますが、面接で一度も話題になりませんでした。あんまり低いと問題になるとは思います。僕は一応学部の中で首席でしたが、東大の中間層と地方大の首席、研究者としてどっちが優秀?って単純に比較できないので、そこまで低い成績じゃなければあんあまり気にしてないのかな?という印象です。GREもあれば出すといいですが、なくても合格できます。
推薦書を書いてもらう (←めっちゃ大事)
OISTのホームページ等に記載の通り、推薦書はかなり大切なファクターです。自分のことをよく知る先生に書いてもらいましょう。締切があるので早めにお願いするべきです。僕は所属している研究室の教授・准教授に加えて、うちでポスドクから他大学の助教になった先生 (イタリア人) にもお願いしました。自分の業績などをCVとしてまとめておいてから、それを添えてお願いメールを出すと、具体的なエピソード+客観的な業績で説得力のある文章に仕上げてもらえるはずです。OISTのリサーチインターンを経験した方なら、そのとき受け入れてもらった先生に推薦書を書いてもらうのもとても効果的です。
裏話ですが、「OIST是非入学したいです~」と面接が終わった後にOISTの日本人の先生とお話していると、推薦書がめっちゃ良かったので、面接やらかしてなかったら受かってると思うよーと言われました。それくらい推薦書は大事です。
いざ、面接へ
まず面接の前段階での対策について
僕のようにコネがない人は作りに行くべきです。面接をするのも合格を決めるのも機械ではなくて人が行います。そりゃあ色んな先生に自分を売り込んでおいた方が、合格する確率はあがるはずです。
OISTではサイエンスチャレンジやリサーチインターンなどで学生を募集しています(旅費含む生活費の負担なしでOISTに行けます)。イベントがやインターンの機会がなくても、興味がある先生がいるなら自費でラボ見学させて下さいと言って会いに行くのも手です。
「えー!もう時間ないし、OISTに行ってる暇ないよ!」
という方、安心して下さい。
僕も行動が遅かったので事前にOISTに行けてません。笑
しかし、それでも何とかあがいて、アピールの機会を作ることにしました。
- 学会に参加して、OISTの教授と話す。
OISTの面接の直前に東京で開催された細胞生物学会に参加して、懇親会の際に発表にいらしていたOISTの先生を捕まえて会話することに成功しました。残念ながらその教授は面接の日に出張があって来れないとのことでしたが、代わりに面接のお役立ち情報を教えていただきました。それが次です。 - エクストラ面接を自ら申し込む。
自分の専門に近い人と面接をするときに、きちんと専門性をアピールできるかが面接突破のカギ、と考えているのですが、そもそも本当に自分の専門を理解してくれる先生が面接の担当になってくれるとは限りません。そこで、自分から気になった先生を逆指名するのです。事務の方にお願いして希望する教員を伝えれば、面接の空き時間や、食事時間の際に高確率で会わせてくれます。僕は面接ツアー2日目のタイミングで事務の方にお願いに行き、面接の予定のなかった先生とお話する時間を頂きました。 (僕の場合は専門が近い先生というよりは、単に興味があってお話がしたい方を逆指名しました)
いよいよ面接本番です。面接ツアー全体の様子については過去記事を参照して下さい。
面接のときに気をつけたことですが、僕はTOEFLの成績からわかるように英語が得意ではありません。*5なので、研究概要のわかりやすいイメージをスライドにしてタブレットにいれておき、それをもとにして研究を説明しました。あと、どんなに英語に自信がないとしても、胸を張って自信のある話し方を意識しました。説明が理解されていないようでも挫けずに、何度も言い換えて堂々と説明し直しました。
面接の前にはこちらの記事を参考にしていたのでシェアしておきます。
おまけ
OISTの面接ツアーでは食事の際に先生方も同席して下さるので、そこでもお話できます。いいアピールの機会なので積極的に話しましょう。研究の話をしてもいいですし、こんなきっかけでOISTを知りました~なんていう会話をしてもいいですね。
学会でお会いした研究員の方によると、食事の際に協調性があるかどうかも、採点対象になっているみたいですよ。無理にガツガツ話に行く必要はないですが、差別的であったり、法律に触れるような発言をすると一発アウトになったりするらしいので気を付けて下さい。
それでは今回の記事はこのへんで。
OIST院試に臨む方に幸運が訪れますように。合格したらOISTキャンパスで会いましょう!
追記:
OISTで学生になって中盤の2022年に、学生生活の実態をまとめた記事はこちら。
参考:
この記事ももう最新の情報ではなくなってしまいました。この記事を書いた2018年の一年後の、2019年のAWSやその他OIST入試に関連するブログ等を丁寧にまとめて下さったHeroさんの記事もとても参考になります。是非チェックしてみて下さい。
こちらはまた別で同期の方が書いた記事です。これまた独自の視点で面白いし、ためになります。
OIST 入学に至るまで Part1—受験検討編https://t.co/va8keMU7eO
OIST 入学に至るまで Part2—書類審査編https://t.co/83KViMIZtm
OIST 入学に至るまで Part3—面接審査編https://t.co/IHbf58MtGI