Naイオン流入とERの形態変化 (PLoS One 2013年2月15日号掲載論文)

結論から言うと、
ER膜の形態変化にはイオン濃度の恒常性が大切で、
「Ca2+ホメオスタシスに影響を及ぼす化合物がER膜形態をよく変化させること」、
「thapsigargin依存性のER形態変化には細胞外Ca2+やNa+は不要であること」、
「BCL-2依存性のER形態変化には、Na+チャネルが必要であること」を示した論文。

 

本日は A novel cellular stress response characterised by a rapid reorganisation of membranes of the endoplasmic reticulum. という論文で、イギリス Department of Biochemistry, University of Leicester の Dr. Gerald M Cohen のグループ。(どういったラボ?→*1)による研究。(論文サイトへのlink→*2

  

 構造に分けて解説。

背景 160番の文献で、様々な刺激に応答して小胞体の形態が可逆的に変化することが示されてきた。

課題 結局何に反応してERの形態を変化させるのか不明。

目的  ER形態の変化に共通する分子機構を探索する。

方法 ERを形態変化させる際の薬理刺激で変化する遺伝子発現をクラスタリングで分類分け。

結果① Ca2+ホメオスタシスに影響を及ぼす化合物がER膜形態をよく変化させる。

結果② apogossypolやBCL-2 アンタゴニストのTW37によるER膜の再構成にはCaではなく細胞外Naの流入が必要。thapsigargin依存性のER形態変化には細胞外Ca2+やNa+は不要である。BCL-2依存性のER形態変化には、Na+チャネルが必要である。

考察 ER膜の形態変化にはイオン濃度の恒常性が大切である。BCL-2ファミリータンパク質がERのCa2+を制御することが提案されている中で、細胞外Na+に依存してERの形態を制御しているという解釈の説明は難しい。今後の解析が期待される。

感想
SOCEの阻害剤である2-APBでApogossypolによるER膜再構成がキャンセルされる一方で、細胞外CaがなくてもApogossypolでER膜再構成が可能なのは説明が必要だと思う。2-APBがSOCE以外にも効いている可能性がある。Na+チャネルの阻害剤として用いられたBezamilが、どのくらいのレベル・特異性でNa+の流入を阻害するのかは分からなかった。本当に純粋にNa+の流入が効いているのかは微妙。
ERの断片化の機構にCa2+依存性にものと、Na+依存性のものがあることが勉強になった。このように2つの機構で断片化したERは、それぞれどのようなストレスに適応するためにどのような応答をERで行っているのだろうか。(それともERの断片化は単なるダメージの結果として出てくる現象なのか)

*1:このグループはアポトーシスの分子メカニズムを研究しているラボのようです。こちらのlinkより。

*2:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0056603#abstract0