BaxはERストレス刺激によりERに局在し、ER膜の透過性を上昇させる (Cell Death & Differentiation 2010年6月11日号掲載論文)

結論から言うと、アポトーシス亢進タンパク質であるBaxは、ERストレス誘導剤であるthapsigargin処理によってER膜に転移し、ER内タンパク質が細胞質に放出されることを示した論文。

 

本日は「Bcl-2 proteins regulate ER membrane permeability to luminal proteins during ER stress-induced apoptosis (Bcl-2タンパク質は、ERストレス誘発アポトーシス時にER膜透過性を制御している。)」という論文で、米国 Departments of Medicine, Molecular Targets Group, James Graham Brown Cancer Center, and Pharmacology and Toxicology, University of Louisville の Dr. Chi Li のグループ(どういったラボ?→*1)による研究。(論文サイトへのlink→*2

  

 構造に分けて解説。

背景      ERストレスによるアポトーシスは、複数の環境的・薬理学的原因で生じる。

課題      その詳細な機構は未知である。

結果①  アポトーシスを起こすBcl-2メンバーであるBaxとBakに依存する過程で、ERストレスを受けた細胞では、ER内腔に局在する蛍光タンパク質が、サイトゾル中に放出される

結果②  その過程は、BaxのER膜への転座と固定を伴う。

結果③  in vitro において、Baxとtruncated-Bid(tBid)は、ER膜透過性を全体的に増加させる。

結果④  抗アポトーシスタンパク質Bcl-XLは、ER膜透過性に対するBcl-2タンパク質の効果に拮抗する。

結論      アポトーシス亢進タンパク質であるBaxは、ERストレス誘導剤であるthapsigargin処理によってER膜に転移し、ER内タンパク質が細胞質に放出される。

ER膜の透過性の上昇が、アポトーシスに必要なのか、ERストレスの結果として起きているだけなのかは不明ですが、ERの内容物が細胞質に出てきてしまうというコンセプトが面白かったです。

*1:このグループは細胞死のタイミングとプロセスを制御する遺伝子(を制御する低分子の探索や変異体の機能など)を研究しているラボのようです。https://louisville.edu/medicine/research/cancer/c0li0006より。

*2:https://www.nature.com/articles/cdd201068