オルガネラコンタクトサイトに存在するタンパク質を特異的にラベルするContact-ID 法の開発 (PNAS 2020年5月15日号掲載論文)

結論から言うと、オルガネラコンタクトサイトに存在するタンパク質を特異的にラベルするContact-ID 法を開発した論文。

 

本日は「Contact-ID, a tool for profiling organelle contact sites, reveals regulatory proteins of mitochondrial-associated membrane formation (オルガネラの接触部位をプロファイリングするツール Contact-IDが、ミトコンドリア-小胞体間コンタクトサイトの形成を制御するタンパク質を明らかにする)」という論文で、韓国 Department of Chemistry, Seoul National University の Dr. Hyun-Woo Rhee のグループ(どういったラボ?→*1)による研究。(論文サイトへのlink→*2

  

 構造に分けて解説。

背景      ミトコンドリアとERのコンタクトサイト(MAM)は様々な細胞プロセスを制御するシグナル伝達ハブとして注目されている。

課題      MAMプロテオームを生理的条件で精製する方法が確立されていないため、その分子構成は不明なままである。

目的      本研究では、生細胞内のMAMプロテオームを同定する。

方法      promiscuous biotin ligase (pBirA)のスプリットペアシステムであるContact-IDを開発した。ミトコンドリアとERが近接した場所でのみ、2つに分割されていたpBirAが元に戻って活性を持つ。

結果①  Contact-IDは小胞体(ER)とミトコンドリア接触部位に近いタンパク質を特異的に標識し、(以前に同定されていたものを含む) 115個のMAM特異的なタンパク質を同定した。

結果②  同定したタンパク質の中からMAMに関しての報告がないFKBP8に注目した。FKBP8の過剰発現で、MAMの形成が促進した。

結果③  FKBP8のKDで、ヒスタミン刺激に応答したミトコンドリアへのCa2+流入が阻害された。ERからのCa2+放出量には変化がなかった。

結論      オルガネラコンタクトサイトに存在するタンパク質を特異的にラベルするContact-ID法が開発された。

 

今後はこの手法がコンタクトサイトに存在する分子の網羅解析のスタンダードになりそうですねー。

*1:このグループは細胞におけるタンパク質などの分子の空間分布をマッピングする方法を研究しているラボのようです。https://chem.snu.ac.kr/eng/faculty/faculty_view.asp?seqno=15795#noneより。

*2:https://www.pnas.org/content/early/2020/05/14/1916584117